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国際結婚の注意点
婚活中の男女が目的としているのは、必ずしも日本人同士の結婚とは限りません。なかには、国際結婚をしたいという独身男女もいることでしょう。浜崎あゆみや宇多田ヒカルといった芸能女性の国際結婚も話題になり、ますます認識が高まりつつあります。
しかし実際には色々と問題も多いようで、準備不足や知識不足が原因でトラブルを抱えることも少なくありません。そこで今回は、国際結婚を希望する方へ、国際結婚で注意したい6つの注意点をお話します。
その1 法律の問題
通常、日本人同士の結婚は「民法」によって婚姻のルールが定められています。婚姻届けを役所に提出し、入籍しますよね。これが国際結婚になると、「お互いの国の法律」に基づいて婚姻の手続きを完了させなければなりません。なかには、日本の法律に基づいて婚姻することが認められている国もありますが、基本的には出身国の法律に従うようになっています。例えば、日本人の女性とアメリカ人の男性が結婚する場合、女性は日本の法律に従って婚姻の手続きをし、男性はアメリカの法律に従って婚姻の手続きをする必要があります。
(法の適用に関する通則法24条1項)
日本の法律に関して言えば、国際結婚は相手の国の法律に従って婚姻することが認められているので、日本の形式で婚姻するか、もしくは相手の国の法律に従うか選択できるようになっています。
その2 戸籍の問題
日本の法律ではなく相手の国の形式で婚姻する場合、その国が発行する証書を日本の在外公館に提出しなければなりません(戸籍法41条)。そして、日本は入籍すれば夫婦同姓となりますが、国際結婚は手続きしなければ別姓のままとなります。
戸籍を変更して相手の姓を使用したい場合は、婚姻から6ヶ月以内に手続きする必要があります(戸籍法107条2項)。よく勘違いされやすいのですが、国際結婚したからといって国籍が変わることはありません。国籍は出身国のままです。
参考:弁護士法人キャスト:日本にいる日本人と日本にいる中国人が日本で婚姻する場合
参考:行政書士はやし事務所:日本人と外国人が日本で婚姻する場合
その3 子供の二重国籍
注意したいのは子供の「二重国籍」について。国内で生まれた子供で、どちらかが日本籍であれば必然的に子供も日本の国籍になります。しかし、国外で出産した場合、3ヶ月以内に日本の役所に届けなければ日本国籍となりません。
(戸籍法49条1項)
生まれた国によっては、届け出が無くても無条件で国籍を与えるケースもあります。そのことを知らず日本で届け出てしまうと、その子どもは「二重国籍」となってしまうのです。
二重国籍は面倒な問題です。生まれてから3ヶ月以内に「国籍留保」を手続きして、子供の国籍を確認しましょう。そのままでOKであれば手続きしなくてもよいですし、日本国籍にしたい場合には役所に届け出る必要があります。この3ヶ月を過ぎてしまうと、必然的に日本籍の権利を失ってしまうため注意しましょう。手続きを怠ったために、「親は日本籍だけど子どもは国外の国籍になっていた」なんてことも例外ではありません。
万が一、二重国籍となってしまった場合には、どちらの国籍を戸籍に入れるか選択しなければなりません。ただし、タイムリミットは22歳になるまでです。子供の国籍には、くれぐれも注意しましょう。
(国籍法14条)
その4 ハーグ条約
2014年4月1日に日本も「ハーグ条約」に加盟しました。ハーグ条約とは、子どもに関する国際ルールです。親のどちらか一方が、相手の承諾を得ずに子どもを国外へ連れ出すことを禁止する法律です。
例えば、海外で生活していて相手の承諾を得ずに子供を日本へ連れて帰った場合、ハーグ条約に違反したとして強制的に子供は連れ戻されてしまいます。仮に、その国がハーグ条約に加盟していなかったとしても、日本が加盟しているので、どちらにしても強制的に連れ戻されてしまうのです。親であってもハーグ条約に違反すると、誘拐罪と同じ扱いになってしまう場合もあるので注意が必要です。
その5 離婚のトラブル
国際結婚で離婚する場合、お互いの国の法律に基づいて「除籍」の手続きを行わなければなりません。日本では離婚が成立したとしても、相手の国では離婚が成立していない場合もあります。
(法の適用に関する通則法27条)
日本の法律では、離婚届けを役所に提出すれば離婚が成立しますが、国によっては、裁判所の承諾を得ないと離婚が成立しないケースもあるのです。日本では離婚していることになっているが、相手の国では夫婦のままの状態というわけです。
その6 親権問題
国際結婚の離婚で問題になるのが「親権問題」です。親権を決める際は、子どもの国籍地の法律に従って解決することとなります。子供が日本国籍であれば民法に従い、アメリカの国籍であれば合衆国憲法に従わなければなりません。
ただし、例外もあります。両親と子どもの国籍が違う場合、「その子どもが長く居住していた国の法律」に従うことになっています。子どもが日本に長く住んでいたなら民法、アメリカに住んでいた期間が一番長ければ合衆国憲法に基づいて親権問題を解決します。
ある程度の知識は大事!
国際結婚するからには、最小限の知識は大事です。ただでさえ、文化も風習も違う人間同士が結婚するわけですから、せめて婚姻に関する最低限のルールだけは知っておきたいですね。あとになって「何それ?」「そんなの聞いてないし」なんてことでは済まされないこともあります。
特に、戸籍の問題や子供に関する法律は覚えておきましょう。日本に住んでいるからといって、すべてに日本の法律やルールが適用されるとは限らないのです。国際結婚には国際結婚のルールがあります。そういったことを理解したうえで、入籍したいですね。
- その1 婚姻に関する法律の問題
- その2 夫婦の戸籍の問題
- その3 子供の戸籍の問題
- その4 ハーグ条約について理解する
- その5 離婚に関する手続きや法律
- その6 親権問題に関する法律やルール
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