先入観と固定概念
この画像は何に見えますか?
ある人は「老婆」が見えると答え、ある人は「若い女性が後ろを振り向いている姿」に見えるといいます。つまり、一つの絵で色々な見方が存在するということ。
では次に、こちらの絵はどうでしょう。
「風景」が見えるという人もいれば、「顔」が浮き出て見える人もいます。これらを識別するのは視覚です。しかし、目に映ったものが何であるかを処理する役割は脳です。画像を見て、脳が分析した結果が答えとして頭の中に住み着くのです。これが先入観と固定概念になります。
一枚の絵を見て一つの見方が頭に住み着けば、すぐに別の視点へと切り替えるのは簡単ではありません。1枚目の画像を例にすると、直感で老婆が見えた人であれば、若い女性の姿を見つけ出すのは難しいはずです。その逆も同じ。
人間の『第一印象』もこれとよく似たシステムです。“人間の第一印象は7秒で決まる”と断言する学者もいるほど。初対面で悪い印象を受けたら一度や二度良いことがあっても、「でもな…」と心理的にブレーキがかかります。
先入観が脳に植えつけられるとそれが固定概念となり、なかなか頭から離れようとしません。固定概念や先入観は一つの判断基準となってしまい、物事に対する見方を狂わせてしまうこともあります。
先入観と第一印象
社会とは関わり合いの繰り返し。人と接しないなんて余程のことがない限り避けられないでしょう。仕事、私生活、教育、全てのフィールドにおいて、人と関わるということは“人生の課題”です。
第一印象で自分の人物像を中途半端に解釈されるのは迷惑なことですが、人間の仕組み上、仕方ありません。では、お互いが物の見方に対する意識を変えれば・・・
それも難しい話ですね。だまし絵のように直感で相手を判断してしまわないようにと心がけたとしても、脳は勝手に情報を整理して“自分の「ものさし」”で基準を作りたがります。
自分が思っている以上に多くの情報が脳には詰め込まれているため、過去の記憶や経験、モラルや価値観などを“ものさし”にして目の前の状況を判断するわけです。ほとんどの人は血を見れば痛々しく感じますよね。これは、過去に自分で怪我を体験し、血を流したことがあるから「血=痛々しい」と結びつくわけです。
第一印象も同じで、過去に得た知識や経験、記憶が情報となって直感でイメージ化されてしまいます。
例えば、B型の男は自己中と聞いたとしましょう。すると、それが先入観となり、どんなに素晴らしい男性だとしてもB型と知ったとたんに不安要素となってしまいます。