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「フランスやイタリアでは籍にこだわらない結婚が多い。フランス婚、ユーロ婚という感じです」
これは、女優の夏木マリさんが結婚発表の際に、自身の結婚の形を表現した有名な言葉です。夏木マリさんは、当時交際中だったお相手との結婚に“事実婚”という形を選びました。事実婚とは、婚姻届を提出せずに事実上の夫婦生活(婚姻状態)を送る男女の関係を言います。
一昔前までは“内縁関係”という言葉でも表され、何となく「事情があって籍を入れられない」というような暗いイメージがありましたが、夏木マリさんが事実婚を“フランス婚”という形で紹介したことから世間での認識が変わり、事実婚は一躍注目を浴びるようになったのです。
ところで、なぜフランスでは事実婚というスタイルを選ぶ夫婦が多いのでしょう?
そこには、フランス人の恋愛観が大きく関わっており、始まりは1968年の“5月革命”にまで遡ります。当時、フランス国内では労働者の団結権や高等教育機関の見直しなどを求めた大規模な運動が起こっていました。いわゆる“5月革命”と呼ばれるものです。民衆は5月革命を通し、上記の要求と共にさらに二つのものを求めていました。
それが、“フリーセックス”と“自由恋愛”です。5月革命は、「古い価値観を打破する20世紀のルネッサンス運動」という側面を持ち合わせていたのです。この革命以後、自由恋愛至上主義を掲げるフランスでは、結婚という形式に捉われずに愛し形“ユニオン・リーブル=内縁”というスタイルが社会的に確立され、現在に至っています。
入籍をせずに夫婦同然の生活を送る事実婚(フランス婚)。
ここでふと気になるのが、“同棲しているカップルだって事実婚と同じなのでは?”という疑問です。確かに、同棲をしている男女はひとつ屋根の下で寝食を共にしているわけですから、傍から見れば事実婚と変わらない状態にあると言えます。しかし、同棲が事実婚と大きく異なるのは、男女の間に“夫婦としての意識が無い”という点です。
事実婚とは単に男女が共に暮らすだけではなく、そこに“夫婦意識”を持つことが前提となり、事実婚として認められるには周囲の人間からも「あの二人は夫婦」という認識が必要になります。そのため、同棲はあくまでも「夫婦意識を持たずに一緒に住んでいる状態」を指し、「恋人同士」という扱いになるのです。
結婚前の同棲と共に1つのスタイルとして、日本でも確実に支持されつつある事実婚。
では、事実婚にはどのようなメリットとデメリットが存在するのでしょう。
■メリット
- 相手の家族と法的な繋がり(婿・嫁)が無い
- 夫婦別姓でいられる
- 離婚が存在しないので、別れた際にお互い戸籍にキズ(バツ)が付かない
- 通常の結婚(法律婚)と一部同等の権利がある(財産分与請求、社会保障制度、貞操義務など)
- お互いに対等なパートナーシップでいられる
- 公営住宅の入居や携帯電話等の家族割など、家族を対象にしたサービスが受けられる
- 両者の意志が絆となるため、純粋に互いへの気持ちを強められる
- 精神的な束縛を受けず、自由でいられる
■デメリット
- 子どもが非嫡出子になる
- パートナーと同姓を名乗れない
- 親と子の姓が不一致にる
- 配偶者控除などの税制上の優遇を受けられえない
- 夫婦間で相続権が無い
- 社会的信用を得にくい
- 周囲の理解を得られにくい
- 事実婚であることの説明が時にわずらわしい
事実婚を語る上で大きなテーマになるのが、やはり子どもの問題です。
事実婚関係の男女に子どもが生まれても、その子どもは法律婚のような法的な親子関係が認められない“非嫡出子”となるため、自分の子どもとして迎え入れるには認知の手続きが必要となります。そのため、子どもができると同時に事実婚から法律婚へ切り替えるカップルが多くなっています。様々なメリット・デメリットを踏まえた上で、法律婚と事実婚のどちらが自分に合っているのかを考えてみると、新しい結婚の形が見えてくるかもしれません。ちなみに、冒頭で触れた夏木マリさんはその後事実婚を卒業し、法的に夫婦として認められる道を選んだとのことです。それもひとつの愛の形・夫婦の形ですよね。
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