孤独死とは
誰にも見守られることなく、たった一人で孤独に死んでゆくことを『孤独死』と言います。孤独死の定義は定かとなっていませんが、現在問題となっている老人の孤独死のほとんどが、体調不良でありながら、誰に頼ることもできず自室で一人で最後を迎え発見されるといったケースです。この場合、病気の進行や突然の発作による死因であっても、警察庁の死因統計上では『変死』とされます。
病院の管理のもと寿命をまっとうしても、「ありがとう」と言ってくれる家族がいないことを孤独死とする例もありますので、孤独死の定義は曖昧です。法律的には、引き取り手のない遺体は住んでいる市町村で火葬することが義務づけられていますので、必ず火葬はされます(埋葬法第9条に各等)。しかし…できれば避けたい最後ですよね。
理想としては、家族に見守られながら「自分には生きた理由があった」と思えるような人生観を持ち旅立ちたいものです。
孤独死の主な例~リアルなショッキングストーリー
結婚もせず、仕事に打ち込んできた男性。しかし、定年となり時間を持て余して初めて気がついたのです。「自分は愛する者も、自分を愛する者も作らなかった」
会社という存在が全てだった若き日。しかし、年齢とともに新しい知識を持つ新入社員に後押しされるような形で退職。
送別会で贈られた花束は…三日と経たずに枯らしてしまった。
「だって自分は、仕事以外のことは何も知らない。花に水を差すことさえも…」
そして、どんどん若き日のことしか思い出せなくなってくるのです。会社で輝いていた頃の有能な自分。しかし、その記憶だけしか残らない…その記憶しかないのです。孤独な老後は、その輝かしい日々だけ考えて過ごしていました。そしていつしか自分の精神がその頃に帰ってしまうという病気を発症してしまうのです。
そう…日本人の多くが最終的に発症してしまう高齢者の病気である『認知症』です。しかし、そのことに周囲が気がついてくれるほどの人間関係を持っていないまま、体はどんどん弱っていきます。布団に横たわり、調不良を抱えたまま窓の外を見れば、雪が降ってきたようです。
「今日は早めに会社に行って、除雪作業をしなければ」
「あれ?電車の時間は何時だったかな?自分が行くべき会社とはどこにあっただろうか?」
「そういえば、自分を待っている上司や部下はもういない」
そっと目を閉じる男性。部屋にあった灯油ストーブはもう尽き、最後の炎が頼りなく「ボボ…」と、か細い音を立てた。彼の命もまた、誰に知られることもないまま、燃え尽きたのだ…。