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増える国民生活センターへの苦情
世の中には、他人を騙す悪人がいます。そんな悪いヤツが婚活サイトにも存在します。最近、とくに増えている被害が、婚活サイトを悪用して投資用マンションの購入を勧誘するといった手口。実際に騙されて投資用マンションを購入してしまったという苦情が、国民生活センターに多く寄せられているそうです。
普通の出会い系サイトなら色んな詐欺師がいますが、問題なのは「婚活サイトを悪用している」ということ。完全に色恋を利用した手口ですから、たちが悪いわけです。真剣にパートナーを見つけている人からすれば迷惑な話ですよね。
<国民生活センターに寄せられた相談内容の一部>
◆婚活サイトで知り合った男性の職業が投資コンサルタント。仲良くなるにつれて、その男性を信じてしまい投資用マンションを契約
◆婚活サイトで知り合った女性がファイナンシャルプランナー。恋愛を意識するようになった途端、投資用マンションの話をもちかけられ購入
◆婚活サイトで知り合った男性と数回ほどデート。しばらく月日が経って、「税金対策」や「年金代わり」などと言われ投資用マンションを購入。
◆旅行に行く約束をした男性から話をもちかけられ、よく分からないまま投資用マンションを契約。解約しようと思ったが、クーリングオフの期間を過ぎた途端に男性と連絡がとれなくなった
参考:国民生活センター
購入したマンションは解約できるのか?
では、悪質な手口に引っかかってしまい購入した投資用マンションを解約することはできるのでしょうか。
通常、マンションを購入する場合には、契約時に価格の1割~2割を手付金として払います。解約する際には、この手付金は戻って来ません。ただし、中古マンションを購入する際は、内装や改装される前に解約すれば着手金は返してもらえます。このことを手続きでは、「契約の履行に着手する前の解約」と言います。
いずれにしても、マンションのような高額な商品を買う際には、契約する前に「解約に関する注意事項や条件」を売主から説明してもらうことが重要です。そして解約とは別に、クーリングオフという方法も考えられます。
参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構:売買に関する紛争 - (1)契約 - 手付解除・履行の着手
クーリングオフの条件とは?
クーリングオフを簡単に表せば「返品」です。ショッピングした品物を期間内に返品することをクーリングオフと言います。しかし、マンションは高額な商品です。クーリングオフにも、それなりの条件が必要になってきます。
<クーリングオフの条件>
■マンションの売り主が「宅地建物取引業者」の資格を取得していること
■売主のオフィス以外で契約を交わした場合。(例えば喫茶店など)
婚活サイトで投資用マンション話をもちかけられ、購入する場合にはオフィス以外の場所で契約を交わす可能性が考えられます。もしそうだとすれば、クーリングオフが成立する可能性は十分に高くなりますね。
また、勧誘してきた相手が宅地建物取引業者であれば無条件でクーリングオフの対象です。ただし、「クーリングオフに関する事項が表記されている契約書」を交わしてから8日間がクーリングオフのタイムリミットとなるので注意しましょう。
詐欺にはならないの?
婚活サイトで知り合った相手の話にのって投資用マンションを購入した場合、これって詐欺に該当するんじゃないの?そう考える方も多いはず。
結論を言うと、残念ながら詐欺に該当する可能性は極めて低いと考えられます。マンションに限らず売買を契約する基本は、「本心同士の合意」が成立していれば違法性は問われないのです。例えば、相場よりも高い価格でマンションを買わされたと主張しても、そのときの状況を振り返ったとき、買う側が価格に合意したと判断できれば詐欺にはなりません。つまり、契約書にサインしていることが合意の証明になるわけです。しかも、実際にマンションが存在しているわけですから、詐欺を立証するのは難しい話です。ただ単に、「相場以上の買い物をしてしまった」ということになります。実際に無いマンションを売りつけられ、お金だけとられたら詐欺ですけどね。
婚活サイトを悪用して投資用マンションの購入を勧誘する手口は、「詐欺にならない原理」を知ったうえで行っているためかなり悪質です。いずれにしても、お金に関する話が出たら慎重に冷静に判断しましょう。契約が成立してからでは取り返しがつかなくなることもありますよ。