ページ更新日：2021年10月5日

恋愛に迷走し、自分自身のメンタルケアも重要とされる「アダルトチルドレン」。

アルコール依存症の家族や機能不全家族のもとで育った子供が成人した際に、適切な人間関係や恋愛関係を築きにくく「共依存」などの状態に陥ることもあります。※1

アダルトチルドレンはパートナーへの依存傾向もみられるといわれていますが、具体的にはどのような恋愛傾向をもっているのでしょうか。

本記事では、アダルトチルドレンの定義から恋愛傾向、恋愛の克服方法や注意点について多角的な観点から解説していきます。

アダルトチルドレンとは？

アダルトチルドレン（Adult Children：AC）とは、幼少期に家庭内で何らかのトラウマを抱えたことにより、心が傷ついたまま大人になった人を指します。

家庭内でのトラウマが抜けきれず精神が不安定なまま交際をすると、恋人同士でもケンカや衝突が起きやすくなります。

また、愛情不足のアダルトチルドレンは、パートナーとの正常な関係を築きにくいとも考えられています。

アダルトチルドレンの恋愛傾向

アダルトチルドレンは、過去の辛い経験によって精神的な部分での価値観が偏っているケースが多くみられます。

たとえば、真実を話すべきところでなぜか嘘をついてしまう、話を盛って自分を良く見せようとしてしまうなど、「他者から認められたい」気持ちが常に強く、他者の顔色を気にしながら自分の存在意義を見出そうとしています。

アダルトチルドレンの特徴をポジティブなものとネガティブなものに分けると、以下のような特徴がみられます。

ポジティブな特徴

アダルトチルドレンは他者の反応が原動力になり、認められたい願望が強いために人あたりは良く、褒められたり優しくされたりすると実力を発揮しやすくなります。

恋愛においても、相手のために尽くそう・頑張ろうという思いが強く、自己犠牲的な側面をもつ人は自己中心的な部分を抑えて日々を過ごします。

束縛傾向が強い人は相手に一途であり、自分の思いを行動で示したり、献身的に接したりすることも可能です。

アダルトチルドレンの恋愛では自分中心的な言動が別れの原因となる場合もありますが、同じく自己中心的な相手との付き合いを終わらせるきっかけとなり、結果として身を守るものとして機能する場合もあるようです。

ネガティブな特徴

アダルトチルドレンならではの特性として、「束縛」や「モラルハラスメント」が挙げられます。

これは幼少期に愛情を適切に受け取れなかったことに直結しており、自分の傍にいてほしいとの思いを恋人にも投影した結果、相手の行動を監視したり束縛したりといった行動につながります。

わがままのレベルならまだ可愛らしいものですが、度が過ぎたモラルハラスメントに発展するケースも多く、アダルトチルドレンではない人がこの束縛を受けると疲れてしまい、相手に合わせることがだんだんと辛く感じてしまいます。

アダルトチルドレンの恋愛の克服法・注意点

アダルトチルドレンの恋愛は幼少期のトラウマのために偏っており、本人にとっても無自覚な思い込みやこだわりが恋愛に適用されています。

このような恋愛を克服するには、以下のポイントを順番に押さえていくことが大切です。

• アダルトチルドレンのタイプを判定する
• タイプごとに必要な矯正を行っていく
• パートナーや友人にも特性を知ってもらう
• 他者の価値観や考えを認め、受け入れる

まずは自分がアダルトチルドレンであることを認めたうえで、アダルトチルドレンのタイプを判定していきます。

アダルトチルドレンには、育った家庭の状況などから大きく分けて5～7つのタイプが存在します（診断によって最小で5つ、最大で7つに分かれます）。

このタイプのどこに分類されるかを把握し、最終的に克服したい「課題」を見つけます。

たとえば、タイプ診断で「ヒーロー（優等生）」に当てはまった人は、完璧主義や人に甘えられない部分を克服することが解決に繋がります。

課題を見つけたら、次は周囲の人に特性を知ってもらい、アダルトチルドレンならではの苦悩や生きづらさを把握してもらいましょう。

この時わざわざ話を盛り、必要以上に自分をアピールする必要はありません。事実だけを伝えて理解を求めるだけで十分です。

課題の克服を急がず、まずは他者の価値観を受け入れるところから始めましょう。

つい束縛したくなるパートナーに対しては、パートナーの生活（プライベートや個人的な考え）があることを踏まえて、毎日頻繁に連絡するのを避けるなど、相手を尊重するようにします。

アダルトチルドレンのタイプは5つから7つに分けられますが、なかには複合的に要素を抱えているケースもみられます。

そのため、確実な分類ではないことに注意が必要です。

アダルトチルドレンの注意点

アダルトチルドレンは決して他人事ではなく、予備軍とされる人々も含めるとかなりの数にのぼるといわれています。

自分ではアダルトチルドレンではないと思っていても、幼少期の経験やトラウマを思い出してみると、意外にアダルトチルドレンの要件に当てはまるところがあるかもしれません。

また、複合的な要素を抱えているということは、克服したい課題が複数あるという意味でもあります。

まずは自分自身が優先的に解決したい特性を洗い出し、周囲に理解を促すところから始めてみてはいかがでしょうか。

恋愛傾向を知って克服を目指そう

アダルトチルドレンは親子関係や家族関係から生み出されるもので、幼少期から時間をかけて作られていくものです。

恋愛が上手くいかないケースには自分自身のこだわりや思い込みが関わっていることも多いため、あまりにも恋愛の失敗が続くようであれば、アダルトチルドレンを疑うのもひとつの方法ではないでしょうか。

ぜひアダルトチルドレンの定義や分類をチェックし、恋愛傾向を見つめ直すことで、失敗を回避してより良い関係を築いていきましょう。

※1 参照：川崎医療福祉学会誌 vol.15:アダルト・チルドレン特性と対人関係でのストレスの自覚の程度との関係─看護学生と他学科学生との比較─