※この記事は2021年11月25日に更新されています。
DVは「ドメスティック・バイオレンス」とも呼ばれ、従来では「家庭内暴力」を指す言葉であったが、現在は「パートナー間の暴力」も含まれるようになった。DVには殴る・叩くなどの身体的暴力の他にもいくつかのパターンがあり、DVを振るう者にも見分け方や特徴が存在する。
本記事ではDVの定義と最新の調査結果を踏まえて、DVを行う男性の特徴やチェックリストの活用も詳しく紹介する。
目次
DVとは?
DV(Domestic Violence:ドメスティック・バイオレンス)とは、「配偶者や家族・恋人など親密な関係にある者から振るわれる暴力」という意味で使われている。
暴力の種類は身体的暴力だけではなく、生活費を渡さないなどの経済的暴力、人格を否定するような言動を繰り返す精神的暴力、相手が嫌がっているのに性的な行為を強要する性的暴力も含まれる。配偶者から受ける暴力については女性が被害者となるケースが多くみられるが、なかには男性が被害者になり女性が加害者となる場合もある。
内閣府が平成11年度から3年ごとに調査を行っている「男女間における暴力に関する調査」では、令和2年度に最新の調査が行われ、約4人に1人は配偶者から暴力を受けた経験があることが判明した。
参考:内閣府「男女間における暴力に関する調査」
日本国内のDV発生件数と国による対策
素敵なパートナーと出会って幸せな結婚生活を送りたいと願う独身者が一定数いる一方で、DVが深刻な夫婦問題となっている。2000年当初、年間4,5万件にとどまっていたDVの相談件数は2013年に10万件を超え、現在も増加し続けている。
令和2年度の内閣府「男女間における暴力に関する調査」によれば、身体的暴行を受けた女性は25.9%で男性も18.4%と、全体の2割~3割が何らかのかたちで暴力を受けた経験をもっていることが判明した。
参考:内閣府「男女間における暴力に関する調査」
暴力が身近なところに存在しているにも関わらず、他人事としている女性は依然として多い。「すべての女性が輝ける社会を築く」というフレーズを掲げた政府も、DVに対しては相談窓口を設置しているだけで抜本的な対策を打ち出していない。2014年に配偶者暴力防止法(DV防止法)が改正されてから数年が経過したが、DVの相談件数は年々増加傾向にある。
DV男性の特徴
それではDVを行う男性には、どのような特徴があるのだろうか。今回は10の特徴を取り上げる。
悪い二面性をもつ
職場では気立てが良く“良い人”で通っているが、パートナーと二人でいるときは気を遣わない“自己中体質”。男性自身が自分の二面性を認識していない場合、あるいは認識していても特に対処や改善を行わない場合には、悪意や負の感情がパートナーに向けられることになる。
ストレスを発散するターゲットとしてパートナーが被害に遭うこともある。外面がいい二面性をもった厄介なタイプのために、外で溜めたストレスの矛先を家庭に向ける傾向が強い。結果としてDVやモラハラを引き起こしてしまうのだ。
やたらと否定的
物事に対して何かと否定的(批判的)な言動を示す男は要注意。自分に対しても否定的で、自尊心が極端に欠けている。自己を肯定する力が弱いために、何事においても否定的な考え方をしてしまうのだ。
ネガティブ思考が内面のみに向けられれば問題はないが、他者に対してネガティブな意見を口にするようなタイプにはDVの可能性を疑うことができる。ネガティブさと内面の弱さを隠すために暴力で表現する傾向が強く、キレやすい特徴も持ち合わせているので、DVの素質が十分にあるといえるだろう。
自分に自信がない
否定的な男性と同様に、自己肯定感が低いために自信が持てない男性。しかしナヨナヨしている“ひ弱系”のことではない。態度も発言も普通なのに、内面的な本質は自分に自信がない。わかりやすく言えば、自分自身に対する自己評価が低いのだ。
自己肯定感が低いが、決して自分への評価を低く見積もってほしいわけではない。自分の発言や行動を否定されたり批判されたりすると、怒りを露わにする。度が増すと、DVが常習化するので注意が必要だ。相手を少しでも否定すると怒りを呼び覚ましてDVが常習化する可能性があるので、対応が難しいところである。
束縛や嫉妬が極端に激しい
出会った相手とは末永く愛を確認し合いたいもの。しかし愛情表現にも限度がある。友人関係や職場の同僚など、やたらと口出しをしたり束縛したりする行動はDVの危険信号だ。共通するポイントは「嫉妬深い+独占欲+支配型タイプ」であること。
たとえばメールの返信や折り返しの電話が少し遅いだけでも逆上して原因を追求してくる行動は、典型的な束縛といえるだろう。一緒に暮らしていて窮屈さを感じやすく、常に相手の顔色を伺わなくてはならないため、DVをされていない時でも心理的な圧迫感がつきまとう。
弱い立場の者を責める
コンビニや飲食店の店員などの自分が少しでも優位に立てる関係性にある者を責める行動は、DV以前の問題だ。立場や権威を利用して暴力・暴言を吐く行為は一種の支配欲の表れであり、自分が上の立場であることを相手に知らしめようとする。
弱者を支配したがる男性は力を見せつけようとしてDVに訴える傾向が強く、両親や上司に頭が上がらない分だけ妻や子に強く当たる場合がある。付き合いたての段階から相手の言動や行動に注意して、DVの素質があるかどうかを慎重に見極めたい。
自分の失敗を他人のせいにする
あらゆる行動や言動に責任を持たず、何か不都合があれば他者に責任転嫁をしようと考える軽率な男性。「自分の非を認めない」や「原因が自分にあると思わない」、「自分は正しいと思いこむ」ことが特徴で、自分が失敗する理由を他人に求めようとする。
ただし他人のせいにしたところで相手を責めるわけにもいかないため、現実では彼女や妻などの身近な存在で発散させる傾向がある。普段から他責的な言動が目立つ場合は、将来的にDVに移行する素質を持っているため要注意である。
酒癖が悪い
典型的な“暴力男”の予備軍。自分の気の弱さを覆い隠すためにアルコールの力を借りて、普段強く出られない相手に強気になるタイプである。自身が酒に飲まれやすいと知りながら、周囲に迷惑をかけていることに気づかない悪質さも特徴的なポイントだ。
一度暴力を振ったことをきっかけとして、酒乱・酒癖が悪い男の暴力は常習化することも多い。パートナーの酒癖が良くないと分かったら、将来の結婚生活をイメージしたうえで冷静に考えよう。
感情の起伏が激しい
感情が不安定な男は、自分の不安定な感情をコントロールする術を持っていない。何をするにおいても気持ちが先に立ってしまい、制御不能になってしまうからだ。特に怒りや悲しみなどのマイナスの感情が湧き上がってくると力負けしてしまい、些細なことで怒りだす。
感情に振り回される自分に目を向けようとしないために、外でのストレスやイライラを溜めこんでしまう。パートナーとの間に何らかのきっかけがあると、溜め込んだストレスが爆発してDVに発展する可能性が高い。
精神的なハラスメントをする
DVは肉体的な暴力だけではない。心理的・経済的・性的な暴力も含まれている。
・ 一方的な暴力による肉体的DV
・無視・侮辱・過剰な束縛・脅し・社会や友人から隔離するなど精神的DV
・性関係の強要・避妊をしない・異常な嫉妬など性的DV
・生活費を入れない・借金癖・家庭放棄など経済的DV
モラハラやパワハラは心理的攻撃の一種だが、精神的な暴力は肉体に傷をつけていなくても心に爪痕を残す。性的DVや経済的なDVも同じく、直接的あるいは間接的にパートナーの肉体や心を傷つけるために攻撃の一種とみなされる。
突発的に暴力を振るう
気に食わないことや些細なイライラのたびに暴力が常習化する慢性型DV。以前には一切なかった暴力が、何かのきっかけで発動するのが特徴である。実は慢性的DVよりも突発型DVのほうが多くみられ、以下の2パターンに分かれる。
1. 一度の暴力をきっかけに慢性型DVに発展するパターン
2. 爆発したときにだけ突然暴力をふるうパターン
慢性型DVをすぐに見分けられる。しかし突発型DVは交際関係を築く過程で発覚するケースが多いので、十分に注意したい。恋人やパートナーから暴力を振るわれた女性が、「最初は優しい人だったのに」とか「仲良くなってきてからDVが始まった」と語る場合は、ほとんどが突発型DVに分類されるのだ。
要するに、突発型DVは誰にでも起こりうる話である。もちろんDVの素質がなければ暴力に直結する心配はないが、素質がある男について普段のコミュニケーションから異変を感じとる必要があるのだ。素敵なパートナーと巡り合うためにも、ぜひ婚活の参考にしていただきたい。
DVのチェックリストも活用
パートナーが「DVの素質を持っているか」または「DVをしているか」を判断するには、DVチェックリストを活用したい。チェックリストはカテゴリーに分かれており、当てはまる項目にチェックをつけていこう。チェックし終わったら、結果を確認できる。
実は、チェックリストに書かれている項目はすべてDVの行為や行動である。1つでも当てはまった場合には、DVだと判断される。「DVチェックリスト」で検索をすると様々なページがヒットする。女性用と男性用のチェックリストもあるので、自分がDVをしていないか不安な人にもぜひ確認してもらいたい。
参考:NPO法人ハーティ仙台「DVチェックリスト」
参考:NPO法人女性ネットSaya-Saya.「DVのチェックリスト」
DV男性の特徴を理解してチェックリストを活用しよう
パートナーや家族にDVを行うことは決して許されない。本来持っている二面性や暴力性が表れた結果としてDVが行われる場合には、関係を解消するしか方法がなくなってしまう。
自分が被害者にならずに、加害者となるリスクを避けるためにも、DV男性の特徴を理解してDVチェックリストをぜひ婚活に活かしてほしい。
監修者情報
結婚相談・婚活アドバイザー 田村智泰
「婚活で人生が変わった。」「結婚相談所で運命のパートナーに出会えた。」そんな方を1人でも増やせるように、結婚相談・婚活アドバイザーの立場から結婚相談・婚活業界の健全な発展を支援しています。
ライフデザインカウンセラーベーシック講座 第140230号
日本ライフデザインカウンセラー協会HP:https://www.counselors.jp/